海外移住したい、母子留学したいけれど、予算はどのくらいかかるのだろう?
というご相談をたくさん受けます。
日本からの仕送りだけに頼って生活できればいいですが、海外生活は思っているよりも案外お金がかかります。現地での収入があれば安心できます。では、母子で海外に出たい、という場合、どのような仕事で起業することができるのでしょう。今日は現地での生活費と起業の可能性について書いてみます。
1、オランダ
オランダでは日本人起業家に対してはポイント制が適応されず、4500ユーロの資本金で起業ができるようになっています。他の国と比べると圧倒的に起業しやすいと言えるでしょう。
そのため、オランダは移住先としてとても人気が高く、実際に移住者は年々増加しています。私がお受けしただけでも、昨年だけで5件のお問い合わせがありました。私はオランダ専門ではありませんので、オランダにお住いのエージェントにはもっとたくさんの問い合わせが入っていると思われます。
オランダの都市部では家賃が高め。1LDKで1000ユーロくらいします。それに食費、光熱費や税金、交通費、交際費、バカにならない保険代を入れると、2000ユーロは最低でも確保したいです。ゆとりある生活は家賃が収入の3分の1、とされていますので、2000ユーロは最低限です。海外からの移住者は、1LDKに何人でも住める、というわけではありません。物件によって3人まで、4人まで、と人数が決められています。母、子供2人、ですと、2DKは必要になります。家賃は当然上がってきますので、交通の便や治安も考え合わせて住む場所を決まる必要があります。食費は高めです。外食は非常に高いのでなるべく避けたいところです。ハンバーガーをカフェで食べると15ユーロくらいします。
オランダの教育が素晴らしいと、日本では人気がある「イエナプラン」ですが、中学からは勉強も厳しくなり、将来の方向も勉強の出来不出来によって決められていくため、お子さんの学年が上がってからの移住は注意が必要です。まずはオランダ語の習得のため、移民の(オランダ語ができないこのための)クラスに通い、そこで約2年間、オランダ語と普通の科目を勉強してから現地のクラスへと移ります。
お子さんの年齢がある程度上がってきてから教育移住をお考えでしたら、インターナショナルスクールに通うことをお勧めします。オランダには半公立のインターナショナルスクールがあり、政府からの援助があるため、学費は学校や入る学年によって多少の差はあるものの、私立のインターナショナルスクールの半分以下で通うことができます。(中学生で80万円から100万円くらいです。1ユーロ120円計算)
オランダにいる日本人起業家で多いのは美容師です。実際に日本人経営の美容室もあります。店舗を持たなくても訪問美容師としてやっていくことも可能です。マッサージや整体、マツエク、ネーリストの方など、手に職がある方は現地での収入に結びつけやすいと思います。英語ができれば客層も広がるので英語はできるに越したことはありません。他に、写真家、日本語講師、書道家、ジャーナリストなど、とにかく資本金さえあれば、事業計画書を提出して起業が可能です。しかし、オランダで起業する方が多く、日本人のみ相手のエージェント、美容師は飽和状態という印象を受けます。
都市部での生活は最低2000ユーロは準備したいですね。
2、ドイツ(ベルリン)
ベルリンではアーティストビザが取りやすいです。という触れ込みで母子移住に踏み切った方がたくさんいらっしゃいますが(私もその一人)、アーティストでもない人がアーティスト優遇措置に甘えてビザをいただくというのは如何なものかと思います。その人の価値観にもよりますが、本気のアーティストの方達に申し訳ないと思います。フリーランスビザもありますが、審査はアーティストのそれより厳しく今までの経歴や資格、大学での専攻などが審査の対象となります。
ベルリンの家賃はオランダより高く、物件数も少ないためか、見つけるのが大変です。
海外はどの都市もそうですが、治安が良い地域、悪い地域がありますので、注意が必要です。
仕事に関しては、ベルリンでもやはり美容師、写真家、ジャーナリストの方が多いです。ドイツはオーガニックに対する考えがとても発展しているので、食に関するお仕事でも頑張っている方がいらっしゃいます。エージェントもいますが、ドイツ語ができる日本人のエージェントは私の知る限りいません。通訳としてビザ申請に同行はしてくれますが、あくまでも通訳として同行するということです。オランダにいる日本人のエージェントのような方はベルリンにはいませんので、やってみても良いかもしれません。
日本語ができるドイツ人のエージェントはいますが、日本人とのトラブルでよく裁判沙汰になっていますので注意が必要です。ビザ申請に関しては弁護士に相談されるのが一番安全かと思われます。
ビザ申請のために必要な銀行残高も人数によって決まっていますので、確認が必要です。家賃は2LDKで1300ユーロくらいです。地域にもよりますが、安全を優先するならこのくらいはかかります。お子さん一人なら700ユーロくらいからあります。
食費に関しては、スーパーマーケットもお値段がピンキリ、ビオやオーガニックスーパーもありますので、こだわりによって食費が変わります。1週間100ユーロあれば、まあまあの生活はできます。
オランダでもドイツでも同じですが、住所登録できる物件を借りないといけません。民泊などで住所登録できない物件もありますので、お気をつけください。不動産屋を通さず、直接大家さんと交渉できる民泊でしたら、家賃交渉もしやすいですが、細部まで契約書をよく読む必要があります。
ベルリンにもインターナショナルスクールがありますが、学校によって受け入れ態勢が全く違います。オランダのインター校は、英語ができなくても受け入れてくれましたが、ベルリンでは受け入れてくれない学校もあります。授業料は、所得によって割引してくれる学校もあります。現地校は授業料無料です。ドイツ語ができるようになった時点で(基本的には1年間)普通校に移ります。高校卒業資格試験(アビトゥア)に向けて、中学生からは授業が厳しくなります。大学に進学しない子たちは職業訓練コースのような学校に行きますが、ここから大学コースに移る、ということも可能なようです。
ベルリンで母+子一人、1LDKに住んで現地校に通わせる、となると、かなり予算が抑えられますね。
ポイントは物件。治安の良いところにお得な物件が見つけられれば生活はかなり楽です。
3、イタリア
お母様が1年間のビザがあれば、お子さんは13歳までなら無条件で一緒に滞在できます。それ以上の年齢の子は滞在許可証を個別に申請します。語学学生ビザなら週20時間まで働けますが、それでも事前の許可が必要ですので、事実上はアルバイトはできないと思っておいたほうが無難です。
家賃はオランダ、ベルリンに比べて安いです。2LDKで1000ユーロほど、1LDK500ユーロくらい。食費は都市部では高めですが、1週間に100ユーロもあれば余裕で生活できます(基本は自炊)。ガス代、水道代が高めなので、シャワーには注意が必要です。電気代は安め。女子3人の生活で、光熱費は1ヶ月160ユーロ前後です。
外食費はオランダ、ベルリンに比べて安く、美味しいピザが1枚5ユーロくらいからあります。
イタリアで起業するには、5万ユーロを既存の会社(指定あり)に投資するのが一番早いです。その他で起業となると、オランダやベルリンのようにはいきません。イタリアで職業学校に行ってから起業、資格を取ってから起業、というコースが確実です。どちらにしてもイタリア語が必須です。
インターナショナルスクールも都市部にありますが、学費は学校によって様々。インターナショナルスクールとは呼べないような体制の学校もありますので、注意が必要です。14歳以下の子供はそのまま現地校に入ります。15歳以上の子はイタリア語ができない子のための学校=移民クラスもあります。授業料は年間50ユーロほど。まずはここでイタリア語を勉強してから現地の学校に移ります。公立の学校でしたら授業料は無料ですが、教科書は購入しなければなりません。これが300〜500ユーロほどかかります。授業は公立校でしたら月曜日から土曜日の8時から1時が標準的な授業時間です。
ミラノやローマのど真ん中でない限り、母+子一人、1LDKに住んで1500ユーロあれば余裕で生活できそうです。
4、ニュージーランド
母子留学でしたらお子さんの留学に親はガーディアンビザが取得できます。お母様も語学学校や専門学校に学生ビザを取得して通うことはできますが、14歳未満の子が一人でお留守番はできませんので(虐待とみなされます)、面倒を見てくれる方を探すか、チャイルドケアに預けることになります。
物価も家賃もヨーロッパより高めです。地域によりますが、2LDKで500NZD(4万円、1NZD80円で計算)ほど、これは1週間の家賃です。1LDK格安で350NZD、というのもあります。ニュージーランドは治安が良いと行っても、やはり地域をよく考えないといけませんので、現地をよく知る方に聞かれるのが一番です。食費は一般的なスーパーマーケットで済ませると1週間に150NZDくらいです。
教育に関して、学費は地域や学校によって様々ですが、公立の小、中学校で年間70〜150万円くらいです。教育の質はとても高く、先生方も生徒をしっかりケアしてくれているという印象があります。留学生ビジネスというか、留学生はお客様なので、とても待遇がよいです。
ガーディアンの仕事は昼間の、週20時間まで、お子さんが学校に行っている間だけ、認められています。しかし4時間程度の仕事は滅多にありません。ワーホリの子が世界各国から押し寄せてますから、競争が厳しいです。起業には多額の資本金が必要ですので、非現実的。ワーキングビザを取得して条件をクリアすれば、子どもの学費が無料になります。将来的に仕事に就きたいのであれば、専門学校に通うことが近道です。
生活費は余裕を持って母+子一人、1LDKに住んで2000NZDくらい用意したいです。
まとめ
国や都市によって起業のしやすさ、生活にかかる費用はまちまちですが、現地にいてから起業して顧客を獲得していく、というのはとても難しいです。すでに日本で起業している方、手に職がある方は比較的やっていけるようですが、オランダで起業家ビザが取りやすいからといっても、オランダに着いてから起業し、事業を軌道に乗せるには最低でも1年はかかります。ベルリンでアーティストビザを取得し、アーティストとして生活している人は一握りです。アーティストではアーティストビザを取得されている方たちは何かしら他の仕事を、例えばWeb関係、またはコーチングなどで仕事を作っています。
海外から日本人相手に仕事をする、というのも立ち上げに時間がかかりますので、お勧めは、海外に出たい、と思ったら、まずは日本で仕事を始めること。国家資格を取ってしまうのが一番近道と思いますが、そうでなければアロマとか整体師とかの民間資格でも、何も無いよりはましです。それがある程度の収入になっていればいうことありません。寿司職人というのも求人が多いので、日本人で寿司が巻ければ仕事には困らないかもしれません。
現地に着いてから6ヶ月くらいは、現地の生活に慣れることやビザ申請、語学に慣れることなどで精一杯です。日本にいるときから慣れた仕事があれば、こんな時にも収入ゼロにならずに済むので安心です。しかし、母子留学で一番頼りなのは日本からの仕送り。お母さんが現地で働くことを前提にしていて、その収入がなければ生活できないのならばよく考えたほうがよいです。先に仕事を見つけてから渡航する、不労収入源を作ってからいく、手に職をつけて、仕事になるという自信が持ててからいく。起業はしても現地での仕事がない場合も考えないといけません。お子さん連れとなると、学校の送り迎えが必須だったりするので、日本のように「いってらっしゃい」と家で見送るわけにもいきません。資金計画をしっかり立て、その1.5倍は費用がかかるくらいの余裕を持って渡航することをお勧めします。
*ビザの条件や学校の費用、治安に関しては頻繁に変わります。
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